後編では、Oracleコンサルタントが導入案件で実際に行う業務内容を解説します。前編ではOracleコンサルタントの役割や必要スキルについて紹介していますので、まだの方はこちらもぜひご覧ください。Oracleコンサルタントの業務内容 ① ランク別のタスクを解説!1.Oracle導入の流れOracle ERP導入プロジェクトでは、会計、サプライチェーン、人事などの領域において、業務の標準化や効率化、経営情報の可視化を目的に、システムの構築・展開が行われます。Oracle ERPコンサルタントは、導入戦略の策定から運用定着まで、幅広い工程において支援を行い、業務要件に応じて標準機能の活用や追加開発の判断を行います。一般的なOracle ERP導入の流れ構想策定 → 要件定義 → 設計・開発 → テスト → トレーニング → 移行 → 本番稼働 → 運用保守2.フェーズ毎のタスク構想策定フェーズ構想策定フェーズでは、ERP導入の目的や目指す姿を明確にし、導入範囲や対象部門、プロジェクト体制を定義します。特にOracle ERPのようなクラウド製品では、テンプレートに基づいた業務プロセスの見直し(Fit to Standard)を前提とするケースが多く、どの業務をどのように標準化・効率化していくのかを上流で整理することが重要です。例:導入目的・適用業務領域の明確化製品・導入ベンダーの選定支援プロジェクト計画立案(体制・スケジュール)要件定義フェーズOracle ERPには多様な業務テンプレートが用意されており、それらの活用を前提に業務要件を整理していきます。必要に応じて業務の変更(業務改革)を促すこともあり、ユーザー部門との丁寧なコミュニケーションが求められます。クラウド型であるがゆえに、アドオン開発は最小限に抑えるべきであり、標準機能とのFit & Gap分析が重要です。例:業務ヒアリング・AsIs/ToBe整理Fit&Gap分析と対応方針の策定業務要件定義書、システム要件定義書の作成権限設計・データ移行方針の策定設計~開発~テストフェーズ要件に基づき、必要なカスタマイズや拡張の設計・開発を行います。Oracle ERPはクラウド前提であるため、ローコード/ノーコードでの設定変更や拡張機能(例:Oracle Visual Builderなど)を活用するケースが多く、従来のスクラッチ開発とは異なるアプローチが求められます。例:基本設計・詳細設計書の作成標準機能の設定、拡張機能の設計・構築単体テスト、結合テスト、ユーザー受け入れテストの支援テストシナリオ作成、検証、課題管理移行フェーズERP導入では、現行システムから新システムへのスムーズなデータ移行が成功の鍵を握ります。Oracle ERPのクラウド製品では、専用のデータ移行ツールやテンプレートが提供されており、それらを活用しながらマスタ・取引データの移行計画を立て、移行作業を実行します。例:移行対象データの洗い出しとマッピングデータクレンジング、変換ルール策定試験投入、本番移行リハーサルの実施本番データの移行・検証運用保守フェーズ本番稼働後は、ユーザーからの問い合わせや障害対応などの保守業務を通じて、システムの安定運用を支援します。Oracle ERPでは四半期ごとにアップデートがあるため、それに伴う影響調査や再設定、ユーザー教育なども重要な業務です。例:サービスデスクの運営、インシデント対応アップデート影響分析と対応方針策定ユーザー教育資料作成、トレーニング実施システム運用・改善提案の実施3.まとめOracleコンサルタントは、単なるシステム導入支援にとどまらず、業務の変革パートナーとして企業の成長に貢献する役割を担います。導入フェーズごとの役割をしっかり理解し、プロジェクトを成功へと導く支援が求められます。