1. Oracle 認定資格とは Oracle University が公式にスキルを認証するプログラムです。 ERP コンサルタントの現場では Oracle Fusion Cloud ERP と Oracle NetSuite が中心で、試験はすべて Pearson VUE 経由（オンライン OnVUE またはテストセンター）で実施されます。 合格者には Credly バッジが発行され、客観的なスキル証明として提案資料や SNS に活用できます。 a. 取得までの５ステップ 試験選択 – 対象トラックとレベルを決定し、取得ロードマップを策定 バウチャー購入 & 日時予約 – Pearson VUE 上で決済、24 時間前まで無料リスケ可 試験準備 – OnVUE システムテストを実施し、公式 Learning Subscription で短期集中学習 受験 – 予約 15 分前に “Begin Exam” が有効化。60‑120 分の多肢選択問題を解答 結果 & バッジ – 終了直後に合否表示。CertView で PDF レポートを取得し、Credly でバッジを発行 b. 取得を目指すべき主要な４科目 ERP コンサルタントが 最短距離で市場価値を高める うえで必須となるのは、① Fusion Cloud ERP の全体像を網羅する基礎試験と、② 会計モジュールを深掘りする実装プロフェッショナル 2 科目、そして ③ NetSuite プラットフォームの基礎を証明する SuiteFoundation の計 4 科目です。 この組み合わせを取得すれば、大手・中堅企業向け（Fusion ERP）と SMB 向け（NetSuite）双方の案件で「要件定義〜設定設計」をリードできる汎用スキルセット が揃います。追加モジュール（Receivables や Revenue Management など）は、プロジェクト要件に応じて順次取得すれば十分です。 カテゴリー レベル 試験名 試験番号 受験料(USD) 試験時間 合格ライン Fusion Cloud ERP Associate Oracle Fusion Cloud Applications: ERP Foundations Associate – Rel 1 1Z0‑1160‑1 95 60 分 64 % Fusion Cloud ERP Professional Oracle Financials Cloud: General Ledger 2024 Implementation Professional 1Z0‑1054‑24 245 90 分 66 % Fusion Cloud ERP Professional Oracle Financials Cloud: Payables 2024 Implementation Professional 1Z0‑1055‑24 245 90 分 64 % NetSuite Associate NetSuite SuiteFoundation Certification Exam NS0‑001 250 80 分 66 問中 43 問前後（概算 65 %） *受験料は為替により変動します。 この 4 科目をクリアすると、 ERP Foundations で Fusion ERP の用語・機能・クロスモジュール連携を体系的に把握 GL & AP Professional で会計領域の Fit/Gap 定義・仕訳設計・決算プロセスを主導 SuiteFoundation で NetSuite の UI 操作・権限管理・ダッシュボード構築を網羅 ──という三段階の知識が一気に手に入り、案件提案時の説得力とアサイン幅が飛躍的に高まります。 2. 資格取得メリット ～年収の上がり方～ 資格取得は報酬面とキャリア面の双方で顕著な効果があります。 国内の ERP コンサルタント平均年収は 800 万円前後ですが、Professional レベルを取得し導入リーダーとして結果を示すことで 1,000 万円超が現実的なレンジとなります。 さらに Oracle University の調査によれば、資格取得者の 55 % が 3 か月以内に昇給あるいは昇格を経験しており、投資対効果が高いことが裏付けられています。 Professional 合格でプロジェクトのモジュール Lead や Fit/Gap リーダーを担うことが可能となり、Specialist 取得後は Solution Architect や Consulting Manager といった上位役職が射程に入ります。 Credly バッジは対外的な信頼構築に寄与し、提案書や RFP の品質保証欄に記載することで受注確率向上が期待できます。 3. 資格取得の難易度 Oracle 認定資格は「Foundations／Associate → Professional → Specialist／Expert」という三段階で構成されており、実務経験と照らし合わせながら段階的に取得する設計になっています。 この構造により、基礎概念を学んだ後に導入リード、さらに高度な統合設計へとスムーズにステップアップできます。ERP プロジェクトは要件定義・Fit/Gap・設定・テスト・移行とフェーズが進むにつれて求められる専門性が深まるため、資格レベルと役割をリンクさせることで担当範囲と責任を明確にし、チーム編成や工数見積もりの精度を高めることが可能です。 レベル 推奨経験 到達目標 主な対象者 Foundations／Associate 0‑2 年 基本概念・UI 操作を体系的に理解し、設定の全体像を把握する 新人コンサル、開発者 Professional 2‑5 年 Fit/Gap 主導、設定パラメータ設計、ユーザ教育を独力で遂行 導入リーダー Specialist／Expert 5 年〜 税務・IFRS・クロスアプリ統合など高度設計をリード ソリューションアーキテクト 4.まとめ 取得対象の絞り込みが肝要 ERP コンサルタントはまず Cloud ERP (Fusion Applications) と NetSuite のどちらを主戦場にするか決定し、会計モジュール（GL／AP）資格から着手すると費用対効果が高い。 三段階レベルで計画的にステップアップ Foundations／Associate → Professional → Specialist／Expert の順に取得することで、案件フェーズごとに必要となる知識・スキルを段階的に強化できる。 年収・役職へのインパクトが大きい Professional 取得後は国内で年収 1,000 万円超、米国で $158k クラスが目安。55 % が 3 か月以内に昇給・昇格を経験しており、投資対効果が高い。 Credly バッジで信頼を可視化 デジタルバッジは提案書・RFP・SNS で即活用可能。資格の存在を示すだけでクライアント稟議や社内承認のハードルを下げられる。